武満とオネゲルを聴いて

1999/12/10 記

●御招待を受け
 東京オペラシティー自主公演「アドヴァイザリー・コミッティ・シリーズ」の若杉弘の巻に行ってきた。御招待戴いてのもの、感謝感謝。
こちらにコンサートの詳細、指揮者若杉弘のインタビューが載っている。とても良いインタビュー、是非御一読を(いつまであるかわからないけど)。
 プログラムは三曲。大バッハの「マニフィカト BWV243」、武満徹「精霊の庭」、オネゲル「クリスマス・カンタータ」。お誘い戴いた時は「バッハに最大の期待。武満…うーん。オネゲル期待」という気持ちだったが聴き終った今は全然別の感情を抱いている。

●バッハ「マニフィカト」
 バッハ、私が最も愛する作曲家。でも今回は…良く寝てしまいました。たは。寝不足のところにバッハの美しい曲では…寝るよなあ…。

●武満徹「精霊の庭」
 武満、世界的に認められているのに私個人として苦手な作曲家。クラシック音楽を聴くようになって15年、何度も武満さんの音楽に接する機会もあり、その都度虚心坦懐に触れているつもりなのだけれどどうしても私の心には共鳴しない…。諦めかけていたけれど、今回初っっめて「おお、いい曲じゃん」と思えた。やあ、よかったよかった。
 彼の曲を聴いていると、その音楽書法が「衒い」や「独善」としか思えなかったのだ。今回の曲も、いつもどおりの武満的音響に満ち満ちた曲だけれど、衒いとも独善とも思わず素直に心が曲に共振できた。どうしてだろう?彼の晩年の作品だからかな?それとも武満入門者に聴き易い曲なのかな?
 和笛のような響きで吹くフルートの大活躍が印象に残る曲でもあった。
 ハープ2台、コントラファゴットも効果的。

●オネゲル「クリスマス・カンタータ」
 オネゲル、殆ど聴いた事なかった作曲家。ドビュッシー、フォーレ、デュカス、ラヴェル…あのあたりのフランス作曲家が大好きな私だけれど、その後の世代は未開拓。でも興味はとってもあったので楽しみにしていた。結論から言えば、すんばらしい曲!病気と闘いながら晩年に書いた遺作ということだがとてもそうは思えない精力的な冒険的書法と絢爛たる構築美!
 まず編成がすごい。オーケストラ(東京交響楽団)、四部合唱(晋友会合唱団)、少年少女合唱(東京少年少女合唱隊)、バリトン(勝部太)、オルガン(誰だっけな)という大編成。
 オーケストラ・オルガン・四部合唱で暗〜く始まる冒頭部、そして突然天上から降り注ぐような少年少女の天使のような歌声…それらが絡まり合いながら曲は進行、オーケストラは四部合唱側に付いて伴奏してるかと思えば今度は少年少女側、と目まぐるしく動きまくり、オルガンの響きはホールそのものを楽器にしたかのような振動を伴って鳴り響く。
 世界のクリスマスソングをコラージュしているということらしく、歌詞はラテン語、ドイツ語、フランス語、母音歌唱など混在しているそうで。なかには聞きなれた「清しこの夜」がとても印象的に効果的に使われていたり。

●ブラーヴォ
 なかなか鳴り止まない拍手が観衆みんなの感動を表していた。ブラーヴォの掛け声も心なしか多かったようだ。
 若杉弘の指揮も、大編成を的確に導き、テンポ・バランスの崩れなど一切なく、実にスマート。さすが世界で振っているベテラン。
 素晴しいコンサートだった〜!

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