スペシャルコンサートで共演するフランソワ・ルルーについて九州在住のオーボイスト語る ルルーってどんな人かだって? おいおい勘弁してよ〜,めちゃめちゃ有名ぜ。前々回のミュンヘン国際コンクールで1位なしの2位をとった人物。今まだ27,8歳位と思う。 パリ音楽院でブールグに師事してました。当時大型新人の到来!てなかんじでそれこそ颯爽と国際舞台にデビューしました。 上記のコンクールは4年に一度しかなく最も権威のあるコンクールとして知られ,またなかなか1位を出さないことでも有名で過去1位をとった奏者はピエルロ,ホリガーなど何人かしかいません。あのブールグですら2位でした。 入賞後,半年位経って一度リサイタルをしに奴は来日してます。 その後奴(そのころ20歳くらい)は、すぐにパリのバスティーユオペラ座の新設に伴い入団してます。当時2代目の音楽監督チョン・ミュンフンのもとこのオケは飛躍的に成長し透明感のあるサウンドを造り出しました。グラモフォンから何枚かCDが出てますが,そのなかでのオーボエは奴です。なかでもメシアンのトゥーランガリアは有名で一世風靡したらしいですよ。自分も一度聴いたことがあるけど何か今までのと全然違うって感じ。おすすめです。 そうそうルルーやったね(^_^;) バスティーユ時代の奴は巷の評判では「あいつはいずれ絶対ソリストに転向する,いやそうなるべきだ」てな具合で飛ぶ鳥落とす勢いだったんだけど,3,4年前なんとなんと バイエルンに移籍してしまったんだなぁこれが。このときのエピソードはN響の茂木がエッセイにちらっと書いてます。とにかくこの件は管の世界ではビッグニュースやった。事件じゃった。なんたってドイツのなかで最もドイツ的なつまり保守的なそしてドイツを一番に代表するバイエルン放送交響楽団にフランス人がしかも首席で入団だったんだから。だって同じ町のなかに一方ではチェリ/ミュンヘンが存在してたんだよ。しかも,奴の前任者マンフレート・クレメント先生(定年退団)ってひとは北ドイツ放送交響楽団のギュンター・パッシン先生(彼はウィンシャーマンの一番の高弟でN響の茂木の師匠ね)と並んでドイツオーボエを文字どうり代表するプレイヤー(リヒター/ミュンヘンバッハでソロはみんなクレメント)だったもんだから批評家の間では「もはやドイツサウンドは」と顔をしかめる人もいたんだけど団員のなかでは全然気にしてなかったんだって。むしろルルーとやりたくて御指名だったらしい。 その後ルルーの日本登場は前回のバイエルン放送交響楽団の来日公演でちゃんと吹いてました。それと1年半程まえに単身来日して東フィルとモーツァルトのコンチェルトを演奏しています。 さて,奴のプレイですが一言でいえばインターナショナルな音色です。ドイツ的な音色半分とフランスの高度なテクニック,表現法,ダイナミックレンジさまざまを融合した感じで新しい響きかもしれません。それだからドイツのオケでもやっていけるのだろうし,バイエルンの団員もその新しさにひかれたのかもしれません。最近7,8年前からの傾向なのですが,管はどんどん無国籍化していってます。ベルリン・フィルの首席フルート,パユだってフランス人ですから。 奴の使っている楽器はマリゴです。ルルーは16のころマリゴの美しさにひかれて,オーボエを始めたそうです。やっぱ,おフランスは感覚が違うねぇ。楽器が綺麗だからはじめたんだって。そんなわけでマリゴ社は今まで一度も広告塔としてプレイヤーを使わなかったんだけど,奴が唯一はじめてマリゴと専属契約を結びました。 奴の室内楽としてのCDは仏ハルモニア・ムンディから2枚でてます。1つはプーランクのソナタとトリオ,ブリテンのオーボエ作品集でもう一枚はモーツァルトとベートーベンの8重奏です。どちらもものすごい演奏で管関係者以外の人でも一家に一枚もつべしといったCDです。特に前者のCDはなんとかかんとかのベスト賞を受賞してます。とにかくいちど聴かせたい。 だらだらかきつらねましたがまあこんなところかな。とにかく「今の若手オーボエ奏者は誰だ?」と聞かれたら間違いなく「ルルー!」と答えるでしょう。そんな奴です。だからちょっと興奮してしまうんだなぁ。 こっちのおいらの仲間のミュージシャンの間では敬愛するプレイヤーを「奴」と呼んでます。 そんで,おいらが一番気になるのはそんな奴を日本くんだりまでよんでおいてセッションするモルゴーアってのはどんなカルテットなんや?うまいんか?「奴等」と呼ぶに値するんやろうか? う〜ん非常に気になってくる存在だ。 |
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情報提供:松永さん(1998/6/28) |
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