下巻
第二十五章 帰還の祝い 前章までの花嫁の悲嘆は杞憂だったと言ってよいだろう。ここで姑が歌う歓迎の歌は実に温かなものである。感動してしまう!よかったよかった そして歓迎の宴は始まるのであった。宴と言えば歌である。詩歌である。詩歌といえば…不滅の詩人・老ワイナミョイネンを措いて他にない。老ワイナミョイネンはまたここでも祝歌を歌う。 ワイナミョイネンは立派だね!ともすれば道化にもなりかねないこのシュチュエーションで高らかに祝いの歌を歌うのだから。 …と書いてはいるが。さてはて。この大民族叙事詩を物語として楽しんで読んでいる私の姿勢は問題がないわけではない。…というより、あるだろう。この「カレワラ」はリョンロットが、そして彼の先達が、フィンランド中を(特に当時僻地だったカレリア地方を)、そして近隣の国を(エストニア等)歩き回って採集した沢山の民詩を、リョンロットが纏め上げたもの、であるからだ。 本来は「ここはリョンロットが書き足した部分」とか、「ここは往時の慣習がうんぬん」と考えながら読むべきだと思う。 しかし、第一回目の読書でもあることだし、ここではごく素直にフィンランドの大河ドラマとして読むこととする。 これだけ長大な物語をまた読む気がするかどうかは、はて自分でもわからんが^^;。 記憶しておきたい箇所: 421 この哀れな辺境で、 422 惨めな北の国で。 と自分の国を呼んでいる。殊更卑屈に言っているわけではなくごく自然に。 これはフィン族が、もっと南の方から(ウラル地方あたりかららしい)段々に北に追いやられていったという歴史的背景が関係しているのかもしれない。 ラップ人と自分たちを対比している箇所があり、そこではだいぶ自分たちの生活を褒め称え、ラップを蔑視しているかのようだ。 これは祝いの席の歌であるから、自分たちを誉めるのはごく自然なことだが、当時のフィン族の気持ちを反映していることも確か、と言えるのではあるまいか。 ワイナミョイネン 二回目のトゥオネラ訪問 老ワイナミョイネンの箱橇が壊れる。老ワイナミョイネンはトゥオネラに赴き、大錐を入手、橇を修理する。 |
1999.7.14記
第二十六章 レンミンカイネンのポホヨラ婚礼旅行 自分だけが呼ばれず、宴会が開かれていると感知したレンミンカイネンは激怒、母が止めるのも聞かず、ポホヨラへ向かう。 レンミンカイネンの母は予知能力があるようだ。レンミンカイネンの前途の危険を告げる。レンミンカイネンは母の助言を守り、3つの危難をくぐりぬけ、ポホヨラへと到着する。 第二十七章 決闘 ポホヨラでは既に宴が終わったあとだった。レンミンカイネンはポホヨラの主人、女主人に文句をつける。何故俺だけ除け者にするのだ、と。 ポホヨラの主人とレンミンカイネンは呪文で決闘を行う。呪文での応酬に業を煮やしたポホヨラの主人は終に剣を取る! ポホヨラの主人の死 レンミンカイネンは余裕たっぷりだ。ポホヨラの主人に先に打ち込ませる。 ポホヨラの主人の剣は家の梁を二つに割ってしまっただけだ。レンミンカイネンは「ここじゃあ女衆に迷惑だ。表へ場所を変えようぜ。」と提案する。 表へ出てからも、またポホヨラの主人に先に打ち込ませる。ポホヨラの主人は2度3度と打ち込むがかすりもしない。レンミンカイネンは「よし、そろそろ俺の番だな。」と言い、ニヤリと笑う(いや、「ニヤリと笑う」とは書いてないんだけど。この辺、だいぶ私の脚色が入ってきました…^^;。だってレンミンカイネンに感情移入してしまうよ^^;)。ポホヨラの主人は聞かずに尚も打ち込む。 レンミンカイネンの剣が一閃、ポホヨラの主人の首をあげる。決闘が終わった…。 家に戻ってレンミンカイネンは言う。「俺が手を洗う為の水を持って来い!」 これにはポホヨラの女主人が怒る。ポホヨラの女主人は呪文を歌う。呪文によって呼び出された1000人の剣士がレンミンカイネンを襲う。 第二十八章 レンミンカイネンの逃走(i) ポホヨラじゅうの者たちがレンミンカイネン許すまじと狙ってくる。レンミンカイネンは鷲に姿を変え、空路我が家へ戻る。母に事の次第を告げ、姿を隠さねばならぬと語る。 母は船で海に出て、ほとぼりが冷めるまで小島に身を隠すよう、子に勧める。 第二十九章 レンミンカイネンの逃走(ii) レンミンカイネンは島に隠れ住む。島でも島中の女の人気を独り占めっ!かたっぱしからものにするのであった。 3年が過ぎ、島中の男の憎しみをひしひしと感じ、また郷愁も芽生え、レンミンカイネンは帰郷の途に就く。島女たちの涙を後にして。 母の隠れ家 帰郷したレンミンカイネンは驚愕する。自分の家が跡形もなくなっているのだ。ポホヨラの軍勢に焼かれてしまったのだ。悲しみに暮れるレンミンカイネン…。 …しかしどっこい母は生きていた(^^)。森の奥にひっそりと。 レンミンカイネンは母の無事を喜ぶとともに、ポホヨラへの復讐を誓うのであった。 |
1999.7.15記
第三十章 レンミンカイネンとティエラ レンミンカイネンは復讐の計を練る。仲間が必要だ。うん、ティエラだっ、彼しかいない!ティエラを誘うレンミンカイネン。しかしティエラの家族は新婚であるティエラを行かせたくない。 85 「ティエラは戦さに臨めない、 86 ティエラの槍は戦えない! 87 ティエラはすごい取引をした、 88 89 ちょうど若い女と結婚して、 90 自分の妻を迎えたばかり。 91 まだ乳首は 92 乳房は疲れてもいない。」 おおうっ。すごい表現だね(#^_^#) しかし勇者ティエラ。家族の言も意に介さず、盟友レンミンカイネンを助けん、と、槍を片手に立ち上がるのだった! さて船出した二人の船、そこにポホヨラの女主人が霜を送りつけてくる。恐るべき妨害の霜を。 船の敵に対して送るものと言ったら、私は「霧」とか「波」とか「風」とかを先に思いつきます。「霜」を思いつくあたりがさすが北国の人だね! レンミンカイネンは難なく霜をやっつける。手で引っ掴んで火の中へ押し込むのだ! 霜とレンミンカイネンは平和協定を結ぶ。レンミンカイネンとティエラは船を氷結した海に残し、徒歩で海を渉り、ポホヨラへと向かう。 …しかし…猛烈な寒気が二人を襲う。名も知れぬ土地で二人は彷徨う。 個人的には新田次郎の小説「八甲田山 死の彷徨」を思い出しました。 不幸不運な自分たちを悲しむティエラ、決してひるまないレンミンカイネンの会話が吹きすさぶ、氷点下の風の中で…恐らく風に負けないように大きな声で…交わされている風景が頭に浮かびます…。 流石のレンミンカイネンもこれ以上の前進を断念。不思議な力によって馬を作り出し、それを駆って走り出すのだった。故郷に向けて…。 第三十一章 ウンタモとカレルボ 話は変わる。 1 母が雛鳥を育てていた、 2 白鳥の大きな群れを。 3 雛を垣根のほうに置き、 4 白鳥を川のほうへ連れていった。 5 鷲が来てそこで拾い上げた、 6 鷲が来てそこで掻き乱した、 7 翼の鳥がそこで追い散らした。 8 一匹をカレリアに運んだ、 9 もう一匹をロシアの地に連れてきた、 10 三匹目は家に置き捨てた。 11 ロシアへ運んだもの、 12 それは商人に育った。 13 カレリアへ連れてきたもの、 14 それがカレルボに育った。 15 家に置き捨てたもの、 16 それがウンタモを生んだ 17 父の不幸な日々となり、 18 母の思い悲しむこととなった。 引用が長くなりましたが。これが悲劇の人クレルヴォにまつわるお話の出発点となる伝説です。エストニアにも同様の伝説があるとのこと。 ウンタモがカレルボの魚釣り場に網をかけたことから兄弟喧嘩が始まる。あらゆることで二人は喧嘩を続ける。 ウンタモはだいぶ好戦的な人物のようだ。 そして遂にはウンタモが大軍勢でカレルボの一族を ただ一人の赤ん坊を残して。 そう、それがカレルボの子、クッレルボである。 ウンタモラでのクッレルボ クッレルボは驚くべき早熟さで育つ。末恐ろしい少年へと育つ。 三ヶ月にして既に呟く。 109 「僕がずっと大きくなったら、 110 僕の体が頑丈になったら、 111 父の無念を晴してやる、 112 母の涙を償ってやる!」 それを聞いたウンタモはクッレルボの成長を恐れ、殺害を図る。 しかし、樽に詰めて海に流しても、火の中に投げ込んでも、縛り首にして木に吊るしても、クッレルボは死なないのだった。 長じたクッレルボをどんな仕事に就けても、彼は役に立たない。とても乱暴な仕事振りである。彼のスケールには、ちまちました仕事は合わないのだろう。 腹を立てたウンタモはクッレルボを鍛治イルマリネンに二束三文で奴隷として売りつける。 原詩ではクッレルボを買い取った鍛治はイルマリネンではなく、別の鍛治だそうだ。ここではリョンロットが、それをイルマリネンに変えている、とのこと。 第三十二章 牧童クッレルボ この章は家畜を放牧に出すときの呪言・呪文の羅列だ。 新しい家では、クッレルボは牧童の仕事を与えられる。 女主人は、「家畜の呪言」「ミルクの呪文」「家畜を追い返す呪文」「熊に勧告する呪文」を唱え(歌い)、家畜と牧童を送り出す。 第三十三章 クッレルボの呪い |
ああ、読み終わらなかった。
入手したのが7月7日だったからなぁ。仕方なし。残りは機中ででも読もうかな。
1999.7.16記
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I use "ルビふりマクロ".